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力多精Edit

少し離れたところにある茂みがガサリ、と揺れる。立ち上がることもなくそれを見ていると、茂みの中から一人の男が現れた。力多精

出てきたのは、黒い目と髪をした長身の青年。まだ青さの抜けきらない顔をしているものの、眼光は鋭く、物騒な雰囲気を漂わせている。力多精

何より、その青年は抜き身の剣を持っていた。しかし、それに対して特に警戒心を抱くこともなく、少女はぼうっと青年を見上げる。力多精

「おおかみさん?」力多精

青年の姿は少女に、一度だけ絵で見た真っ黒な狼を連想させた。力多精

「……何でこんなところにガキが?」力多精

座り込んでいる少女に気付いた青年は、一瞬驚いたように目を瞠ったが、すぐに眉根を寄せる。

今彼らがいる森は昼でも暗く、凶暴な魔物が出ることから“魔の森”と呼ばれ、大の男でも入ることを拒む場所だ。普通なら、小さな子供がいるはずがない。力多精

「…………おい、お前。何でこの森にいるんだ?」

「おばあちゃんのおうちに行くの」力多精

少女の言う“おばあちゃんのおうち”は、青年が知る限りでは存在しない。青年には少女が誰かに騙されたのか、捨てられたのか、はたまた何かもっと深い事情があるのかの判断はつかないが、この子供が自分にとって面倒事であることは分かった。力多精

「おおかみさんは?」

少女は先ほどまでの涙を引っ込めて、興味津々といったように尋ねてくる。青年は“おおかみさん”という呼称に多少引っかかったものの、律儀に答えを返した。力多精

「仕事だ、仕事」

「おしごと?」

「ああ。……で、お前の言う“おばあちゃん”とやらの家はどこにあるんだ?」力多精

「……まっすぐ」

“ここを真っ直ぐ行けば、お祖母ちゃんの家に着くからね”と、母親の声が蘇る。……真っ直ぐ行けばある、はずなのだ。

「は?」力多精

「ここを、まっすぐ」

“ここ”と言うが、少女の示す先に道はない。それに、たとえ真っ直ぐ進んだとしても、あるのは水魔が巣にしている濁った沼だけである。力多精

「…………なあ」

悲しそうな顔で“まっすぐ”と言ったきり、唇を噛み締め黙り込む少女に、青年は声を掛けた。このまま放っておいたら寝覚めが悪い、という理由で。力多精

「なあに?」

青年の胸中も知らず、少女はにこにこと笑っている。元々は人見知りする方なので、一人でいるのがそれだけ心細かったということなのだろう。力多精

「ここから少し離れたところに花畑がある」

「……おはながいっぱい?」力多精

「そうだ。……行ってみないか?」

人に害はないが、魔物が嫌う花が咲いているため、その花畑はこの森の中で唯一安全な場所だ。……花畑に連れて行ってからのことは、青年の知ったことではないが。力多精

「いく!いってみたい!」

「そうか。じゃあ付いて来い」力多精

「うん!!」

急いで立ち上がり、青年のもとへ駆けて行く。しかし、足元に注意していなかったせいで、地面に生えていた植物の蔓に足を取られ、こけそうになった。力多精

また、こけちゃう……っ!

少女は痛みを覚悟してギュッと目を瞑る。

「……っぶねえな」力多精

しかし予想していた衝撃はなく、代わりに人の体温を感じた。訝しく思ってゆっくり目を開けると、青年がこけそうになった少女の身体を支えている。力多精

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